2017.12.16 西部地方版/佐賀 29頁 佐賀全県 (全647字) 

 上峰町で住民組織「大字堤(おおあざつつみ)地区農地・水・環境向上活動協議会」が住民の同意なしに設立・運営され、国などの交付金を受けていた問題で、町は組織の役員数人を詐欺の疑いで年内に刑事告訴する。武広勇平町長が15日、記者会見して明らかにした。

 町は、協議会設立の2007年度から16年度までに支給された約3750万円の交付金全額がだまし取られた疑いがあるとしている。理由として、(1)組織は住民から設立の同意を得ていない(2)町には同意を得ていると虚偽報告していた(3)交付金の使途を確認する書類が不備、などを挙げた。

 ただ、交付金の返還請求については、07~11年度と12~16年度では制度変更があったため、請求額などは検討中だとした。

 協議会は設立時、地区の農家49人と15の各種団体を構成員として町に届け出た。約71ヘクタールの農地を対象に農道整備やため池補修、草刈りなどの費用として国・県・町から「多面的機能支払交付金」を得ていた。ところが、構成員とされた大半の住民が設立の事実を知らされず、一度も総会が開かれなかったことが今年度発覚。7月に初めて総会を開き役員が謝罪していた。

 問題発覚後、町は同協議会の今年度交付金の手続きを停止しているが、町内の他の15組織でも国・県からの交付金支給が遅れ、「事業ができない」との声が上がっているという。

 武広町長は「書類が整っていれば町としてそれ以上調べられず、だまされた形だ。無関係の他の組織にも影響が出ている点は責任を感じている」と話した。(遠山武)

 朝日新聞社

 

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