2017.12.17 日本農業新聞社 1頁 総合1面12版遅 (全824字) 

 岡山市の浦安土地改良区は、所有する農業用ため池を太陽光発電事業を手掛ける企業に貸し出した。約9ヘクタールの水上に約3万3000枚の太陽光パネルが並ぶ。農業用ため池を活用した水上設置型メガソーラーとしては、国内有数の規模となる。20年契約の賃借料を新たな収入源に、農家の賦課金に頼らない運営を目指す。 太陽光発電事業の主体は、京セラと東京センチュリーが共同出資する京セラTCLソーラー合同会社。パネルを設置する浮体(フロート)を水上に並べて連結させ、湖底にアンカーを打ち込んで安定させる。水上にパネルを置くことで冷却効果があり、地上や屋根に置く場合よりも発電効率が高いとされる。 1月に工事を始め、同改良区が所有する阿部池の水面8・9ヘクタールにパネルを設置した。太陽電池モジュールの能力は約8・9メガワット。送電設備の施工、電力会社へのつなぎ込みを経て2019年3月の稼働を予定する。 12年に再生可能エネルギー固定価格買取制度が始まって以降、大規模な太陽光発電事業が増加。用地が不足する中、同社は水上設置型の発電に着目した。同社が手掛けるため池の活用例12件(稼働中、工事中を含む)のうち、11件は農業用だ。同社の関係者は「水流がなく広い規模を持つ場所が多い農業用ため池は、発電に適している」と説明する。 1951年に設立し、県内で最も古い歴史を持つ同改良区は、県南の広大な干拓農地を抱える。水稲や大麦に加え、ナスやレタスなど野菜との複合経営が盛んだ。組合員は393人、受益面積は279ヘクタール。近年は用排水施設の老朽化で通水障害が増え、補修や清掃の費用がかさんでいた。 営農に支障を来さずに資源を有効活用できるとして、同社に活用を提案した。横江博通理事長は「年間約300万円の賦課金だけでは維持管理に限界がある。農業経営も厳しく、賦課金を上げるわけにもいかない。コストやリスクをかけずに収入を生む方法を模索していた」と経緯を語る。

 日本農業新聞社

 

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