2018.01.17 日本農業新聞社 3頁 総合3面12版遅 (全825字) 

 農水省は16日、食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会(部会長=渡邉紹裕京都大学大学院教授)を開き、通常国会に法案提出を目指す土地改良制度の見直し案を示した。委員は、土地改良区の運営に担い手の意見を強く反映させる見直しの方向性に賛意を示した一方で、意思決定の権限や賦課金負担について、担い手と所有者の一方に偏らないよう、丁寧に議論するよう求めた。

 見直し案は、土地改良区の運営に、農地を所有者から借りて耕作する担い手の意見をより強く反映させる狙いがある。組合員資格は耕作者が持つのが原則だが、実際は貸借地で所有者が持つ場合も多い。同省は、資格を移しやすくする手続きや、組合員資格の見直し案を盛り込み、同部会や与党の議論を経て法案を提出する方針だ。

 組合員資格を巡っては、施設の建設費用に充てる「特別賦課金」と維持管理に使う「経常賦課金」をどう負担するかが焦点になる。

 東京大学大学院の安藤光義教授は、土地改良区の運営を耕作者主体に進めることには賛成の意思を示した一方、「特別賦課金を全て耕作者に負担させるのは、ますます担い手の負担になる」と指摘。賦課金の負担や施設更新の意思決定権限などが、担い手に偏り過ぎないような制度設計を求めた。

 愛媛大学農学部の武山絵美教授は、貸借地の組合員資格は実際は所有者が多い事実を挙げ「重く受け止めるべきだ」と強調。耕作していない所有者も土地改良事業に参画しやすくなる仕組みを求めた。

 貸借地には、離農した土地などを担い手が受け入れた農地も多いことも指摘。組合員資格の見直しに向け、こうした担い手の負担が大きく増えないよう、丁寧に議論するよう念押しした。

 見直し案には、土地改良区の業務の効率化や事務統合の推進も盛り込まれている。茨城県龍ケ崎市の横田農場の横田修一代表はこうした見直しが農家のコスト削減につながることを期待し「(土地改良区が)より経営的な視点を持つことが今後重要になる」と述べた。

日本農業新聞社

 

▼▼▼PDF版はこちらから▼▼▼

https://www.iwatochi.com/main/06/osirase/osirase685.pdf