東北・北海道土地改良事業団体連合会連絡協議会(会長:車田次夫 福島県土連会長)は、6月14日に農林水産省、財務省及び復興庁に対し、「農業農村整備関係予算の確保並びに東日本大震災からの再生・復興に関する要請」として要請活動を行いました。

 今回の要請活動では、「農業農村整備関連当初予算の確保」や、「地方財政措置の拡充等の支援」、「土地改良法改正に伴う土地改良区の組織運営の適正化に向けた支援」、「多面的機能支払制度の推進と予算の確保」について要請するとともに、東日本大震災からの再生・復興に関連し「農地・農業用施設の復旧・整備に必要な財政支援措置と十分な予算確保」についても要請しました。(下記の要請書参照)

 農林水産省では、齋藤健 農林水産大臣へ要請を行い、齋藤大臣からは「水田の大区画化をはじめとする基盤整備は、行政が責任をもってやらなければならない。そのうえで、消費者が求めるものを農家の皆様が創意工夫して作っていくというのがあるべき姿である。計画的に事業を進めるためには当初予算の確保が重要であるというのは理解している。農林水産省全体の予算の中での調整もあり難しい面もあるが、補正も含めて総枠の予算は確実に確保していきたい。」とのコメントを頂きました。

 復興庁では、吉野正芳 復興大臣へ要請を行い、吉野大臣からは「地元の皆さんのご協力もあり、復興事業の進捗率は89%まできている。復興予算については、全体で32兆円を確保しており、心配をかけることなく進めていきたい。」とのコメントを頂きました。

 財務省では、前田努 主計官に面会し、前田主計官からは「農業農村整備事業の実施に当たっては、安定した予算確保が重要というのは共通認識である。また、多面的機能支払交付金は、とても好評だというのは承知している。農水省からの予算要望はこれからだが、効率的・効果的な予算としていきたい。」との話がありました。

【齋藤大臣(右から5人目)に要請書を手渡す車田会長(左から4人目)右が本会及川会長】

【吉野大臣(右から3人目)に要請書を手渡す車田会長(左から3人目)】

【前田主計官(中央)への要請の状況】

 

 

 

 

 

 

 

 

要 請 書

 

 平素から、東北・北海道の農業農村整備事業の推進、東日本大震災からの復興につきまして、格別のご配慮を賜り厚くお礼申し上げます。

 また、農林水産省におかれましては、東北・北海道をはじめとする生産現場の切実な要望を踏まえ、平成29年度補正予算と平成30年度当初予算を合わせて5,800億円の土地改良予算を確保していただき、厚くお礼申し上げます。

 現在、農業・農村では、本格的な人口減少社会の到来によって、過疎化や高齢化、担い手不足等による農地の荒廃が進み、農地・農業水利施設の管理や営農の継続が困難になってきており、今後更に進んでいくことが想定されます。

 農業を次世代の担い手にとって魅力ある産業としていくためには、儲かる農業を目指した高収益作物の導入推進や低コスト化、農地の集積、大区画化、汎用化等の農地整備、将来を見越した適時適切な農業水利施設等の維持補修・更新が必要となっています。加えて、ため池を含む農業水利施設等の老朽化が進む中、大規模地震の発生や、気候変動による豪雨災害が多発しており、国民の生命と財産を守るためにも、ため池等の耐震化や洪水被害防止対策などの農村地域の防災・減災対策の推進が重要な課題となっています。

 さらに、東日本大震災や豪雨災害の被災地の農業再生に向けて、引き続き、復旧・復興事業を着実に進めていく必要があります。

 こうした状況の下、我が国最大の食料供給基地である東北・北海道の農業農村の持続的な発展を万全なものとするためには、被災地の早期復興はもとより、改正土地改良法の主旨を踏まえながら新たな農業政策の実現に向け、それぞれの地域特性に合った、高い農業生産力を十分に発揮出来る条件を整えることが必要不可欠であると考えます。

 つきましては、農業農村整備事業の安定的かつ計画的な実施のため、予算の確保、諸施策の推進、東日本大震災からの再生・復興に関し、次のとおり要請いたします。

 

《農業農村整備関係》

 

 

1.新たな農業政策の実現に向け、地域の要望に十分応えられる安定した農業農村整備関連当初予算の確保について(財務省・農林水産省)

  農業競争力の強化のため、農地の大区画化や水田の畑地化・汎用化、農用地集積の加速化、水利施設の更新・長寿命化など地域の要望に十分応えられる予算額を平成31年度当初    予算で確保するよう強く要望する。

2.農地整備事業等の計画的な実施に向けた、地方負担を軽減する地方財政措置の拡充等の支援について(農林水産省)

  農地中間管理機構との連携強化や促進費の拡充により、農地整備事業等の実施に対する地域要望が更に大きくなると思われるが、市町村・都道府県の財政状況が厳しいことから、事業実施に大きな影響を及ぼす可能性がある。そのため地方財政措置の拡充など、改正土地改良法に基づく事業等を円滑に進めるための支援を要望する。

3. 改正土地改良法の趣旨を踏まえ、土地改良区組織運営の適正化に向けた支援について(農林水産省)

 改正土地改良法の施行に当たっては、具体的運用を早期に提示するよう要望する。

 また、複式簿記会計導入が円滑に進むよう、関係機関が責任を持って土地改良区へ資産評価のための施設情報を提供するとともに、資産評価手法に係る研修や会計システム導入等に伴い新たに発生する費用に係る助成措置など、必要な支援を講ずるよう要望する。

4.農業・農村の有する多面的機能の適切な発揮に向けた、多面的機能支払制度の推進と予算の確保について(財務省・農林水産省)

 水土里ネットでは、地域の合意形成や共同管理を通じて「農村協働力」を強化し、農村の地域資源を支えてきた。   

 農業・農村の有する多面的機能が今後とも適切に発揮されるよう、多面的機能支払制度による農地や水路、農道等の共同活動等の推進に係る十分な予算を確保するよう要望する。

 

《東日本大震災関係》

 

1.農地・農業用施設の復旧・復興整備に必要な財政支援措置と十分な予算確保について(復興庁・財務省・農林水産省)

 農地・農業用施設に係る復旧・復興事業が完了するまで、平成27年6月に復興推進会議で決定された「平成28年度以降の復旧・復興事業について」に基づく特例的な財政支援措置を継続するとともに、復旧・復興を着実に進めるため、復興交付金などの予算を十分に確保することを要望する。

 

  東北・北海道土地改良事業団体連合会連絡協議会

 

       会 長   車 田  次 夫

        (福島県土地改良事業団体連合会 会 長)

 

       副会長   尾 田  則 幸

        (北海道土地改良事業団体連合会 会長理事)

 

       副会長   伊 藤  康 志

        (宮城県土地改良事業団体連合会 会 長 )

 

       監 事   及 川  正 和

        (岩手県土地改良事業団体連合会 会 長 )

 

       監 事   佐 貝  全 健   

        (山形県土地改良事業団体連合会 会長理事)

 

       会 員   髙 貝  久 遠

        (秋田県土地改良事業団体連合会 会 長 )

 

       会 員   野 上  憲 幸

        (青森県土地改良事業団体連合会 会 長 )

 

 

 

▼▼▼PDF版はこちらから▼▼▼

https://www.iwatochi.com/main/06/osirase/osirase726.pdf