11月29日本会では、令和元年度土地改良区体制強化事業、技術実践向上研修を開催しました。

 本研修会は、農業・農村整備事業に携わる市町村、土地改良区等の職員の技術力向上を目的に、関係者約50名が参加のもと行われました。

 開催に先立ち本会千葉専務理事が、「土地連では今、県や市町村、土地改良区、あるいはコンサルタントにおける農業土木技術者が大幅に減少している中、『農業農村のセーフティ-ネットを目指す』を組織目標に掲げ、会員からの要請に応えていこうと取り組んでいる。また、ほ場整備事業に向けた調査計画の受託や水土里情報システムのため池マップへの利活用やハザードマップの作成、多面的機能支払制度における市町村への支援などの県や会員の負託に応えられるよう、今後とも関連する資格の取得をはじめ、必要な職員体制の構築に努めていく。」と挨拶を述べました。

 研修会では、まず初めに、岩手県農林水産部農村計画課村瀬企画調査課長が、「農業農村整備事業の令和2年度概算要求の概要について」と題し、農林水産予算総額、2兆7,307億円について、事業区分別の内訳について説明されました。中でも、農業農村整備の要求額、3,978億(対前年比122%)の要望内容及び国の考え方について、ポイントを絞り、丁寧に講義して頂きました。

 次に、岩手県農林水産部農業普及技術課の桐山主査が、「岩手県内のスマート農業の取組について」と題し、岩手県内の農業の現状、なぜスマート農業を進めるのか、スマート農業とはどういうものなのかを説明されました。また、今後岩手県で、スマート農業を普及させていくためには、機器の低コスト化、農家の意識改革、幅広い知識を有する専門家の育成等が課題であると、配布資料に加え、動画等も交えながら講義して頂きました。

 午後は、岩手県農業研究センター生産基盤研究部生産システム研究室の吉田上席専門研究員が、「水稲鉄コーティング湛水直播栽培について」と題して、直播栽培技術の概要、岩手県内での普及状況と課題等について説明されました。湛水直播栽培は、水田の耕盤・作土層の凹凸により、出芽不良、除草効果の不安定により生育ムラが発生する。播種前の耕盤均平が、秋の収量に大きく影響がでると、陸前高田市の小友地区の実証データ等を基に講義して頂きました。

 続いて、株式会社タックエンジニアリング千葉取締役から、「ドロ-ンの現状・期待・利活用」と題して、ドロ-ンを使った関係省庁の取組み、様々な産業で活用されるドローンの事業化に向けた動き、国内法規・規則等についてお話がありました。また、ドローンを利用した写真測量による災害現場での平面図、横断図の作成、広範囲にわたる被災状況確認のためのオルソ図及び立体地図の作成、活用方法等についての講義をして頂きました。

 最後の講義は、本会の藤井課長補佐から、「災害調査におけるドローンの利活用実証の取組について」と題し、九戸村で発生した農地法面の崩壊箇所におけるトータルステーションとドローンを使った測量作業及び精度の検証結果について説明があり、ドローン利用による作業の効率化が期待できると話がありました。

 各講師からの講義内容は、現在農業が直面している課題解決のための有効な手段であり、国の政策でも重点事項として推進されていることから、受講者は興味深く耳を傾けていました。

 

 

千葉専務理事

岩手県農林水産部農村計画課村瀬課長

岩手県農林水産部農業普及技術課桐山主査

岩手県農業研究センター吉田上席専門研究員

株式会社タックエンジニアリング千葉取締役

本会藤井課長補佐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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