170億円過大支出 農地整備で国の補助金 検査院指摘
2016.10.27 東京夕刊 10頁 2社会 (全460字)
 農地の整備をめぐる国の補助事業で、事業の面積に応じて補助金の金額を決める仕組みにしたところ、2015年度までの4年間の補助金の総額が、当初の想定より170億円多くなっていたことが会計検査院の調べでわかった。農林水産省は10月、工法や現場条件に合わせて補助金の金額を決めるよう見直した。
 農水省は、農地の整備事業をする市町村や土地改良区に対し、事業内容によって10アール当たり10万~15万円を補助していた。補助額は当初、事業費の5割程度となるように農水省が設定。面積ごとの定額制にしたのは、金額の決定を簡素化させるためだったという。
 この補助事業について、検査院は12~15年度に12道県で実施された延べ約1200カ所を調査。うち約1050カ所の総額420億円の整備費に対し、380億円の補助金が支払われていた。農水省が当初想定した5割の補助率と比べると、170億円の支出が過大だったという。農水省は「検査院の調査についてはコメントできない。独自の実態調査を踏まえ、適正になるよう見直した」としている。(力丸祥子、田内康介)
朝日新聞社

八代市の土地改良区:工事代など一部未払い 過大に実施、運営資金が枯渇 /熊本
2016.10.27 地方版/熊本 27頁 (全752字)
 八代市の「八の字土地改良区」(理事長・中村博生八代市長)で、地下排水路の整備工事代金の一部や事務職員らの給与が未払いとなっていることが分かった。工事を過大に実施し、工事費を土改区の独自予算から充当したが足りず、運営資金が枯渇したという。
 同土改区の資料などによると、地下排水路の整備工事は、参加農家の要望に沿いながら国の補助金(10アール当たり15万円)の範囲内で実施すると2012年度に始めた。しかし14年度は補助金約5000万円に対し、実際の工事額は1億円弱もあった。差額は農家からの賦課金の積み立て分などを取り崩して充当したが、工事代金の未払いが約1800万円残ったという。中村理事長は取材に対して「当時の事務局長が農家の要望を精査せずに次々と受けてしまい、更に帳簿などの管理もずさんで、不適切な会計処理をしたようだ。申し訳ない」と話した。
 資金枯渇は昨年5月に発覚。約7年前から務めていた事務局長は発覚後から休職し、夏に「一身上の都合」を理由に退職した。同土改区では理事会などを度々開き、▽理事が連帯責任で負担する▽工事をした農家に工事額の一部を負担してもらう▽賦課金を引き上げる――などの対策を検討しているが、今も紛糾。今年度予算も総代会の承認を得られず、今夏から事務職員ら数人分の給与の支払いができないという。
 監督官庁の県も昨夏には事態を知り、早急な解決を求めてきたが、「問題解決のタイムリミットは過ぎている」と指摘している。
 土地改良区は土地改良法に基づき、県の認可を受けて設立される。八の字土改区は同市南西部の干拓地など584ヘクタールで農地の改良や排水事業などを行う。組合員数は564人。中村理事長は13年9月の八代市長選で初当選する前の県議時代から理事長を務めている。【笠井光俊】
毎日新聞社

 

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