もし、運転中のポンプから“バリバリ”というような音が聞こえてきたら「キャビテーション」が発生しているものと思われます。キャビテーションが発生するとポンプの羽根車が海面状に潰食されるなどの悪影響を及ぼし、ポンプ寿命を大きく左右します。

 なお、締め切り運転から絞り運転状態(ポンプによりキャビテーションの発生時期は異なる)まではキャビテーションが発生しやすい条件となるのでこの範囲での運転は避けるべきです。

 

 (1) 圧力と沸騰

 水が沸騰する温度は、大気圧では100℃である。しかし、圧力を0.2気圧まで下げると、水は60℃で沸騰する。

 ポンプを運転しているときは、羽根車の入口付近では強い吸引力が発生するので真空状態になり、水は100℃以下でも沸騰する。

 このように、ポンプの中で水の蒸気が発生したり、水に溶け込んでいる空気が分離発生したりすることをキャビテーションという。

 (2) 羽根車とキャビテーション

 羽根車入口が高い真空状態になっているので、水中に溶け込んでいる空気が分離して、小さい無数の気泡になる。

 この気泡は、水流で羽根の外周の圧力の高い部分にくると、圧力でつぶれ消滅する。この現象を繰り返すと性能が急に低下するばかりでなく、ときには羽根車やケーシングを破損させることもある。

 キャビテーションを起こす要因としては、

 @吸込抵抗の過大

 A水温と吸込圧力の関係

によるものがあげられるが、そのほかにも、

 B過少水量,過大水量

によっても発生する。

 過少,過大水量の場合、羽根のカーブに沿って水が流れず、ちょうど水が羽根によって引きちぎられるような形となり、キャビテーションが発生する。

 キャビテーションが起こると、プチプチバリバリという独特のキャビ音を発生する。

 (3) 水温とキャビテーション

 水の温度が高くなるとキャビテーションを起こしやすくなるので、吸入揚程を少なくする必要がある。