本会では、6月6日、次代を担う若い世代に農業農村整備を理解していただくことを目的に、農業用施設の現地見学会を開催し、岩手大学農学部濵上邦彦准教授、山本清仁准教授の引率のもと、同学部食料生産環境学科3年次生19名が豊沢川地区の農業水利施設の役割等について研修しました。

 豊沢川土地改良区の水がめである豊沢ダムでは、岩手県県南広域振興局農政部北上農村整備センター豊沢ダム管理所の照井勇司主任技能員から、豊沢ダムが花巻市及び北上市にまたがる約4,250haの水田地帯に農業用水を安定供給するための重要な水源施設であること、監査廊の目的がダムの漏水や揚圧力の状況を確認するためであること等について説明を受けました。

 その後、参加者全員が豊沢ダムの監査廊に入り、423段の階段を昇降することで、ダム管理の苦労を身を持って感じているようでした。

 次の新田堰頭首工では、豊沢川土地改良区佐藤光広業務課長から、豊沢川の水をゲートの自動制御による管理で用水路に引き込み、農地にかんがいしていることや平成15年度に、鋼製転倒ゲートからゴム堰に改修されたことなどについての説明を受けました。

 その後、移動バスの中から大幹線用水路の大分水工の説明を受け、次の見学地である宮野目揚水機場では、「豊沢川用水だけでは末端農地のかんがい用水が不足するため、その補水として北上川から直接揚水し供給している」ことや、「太陽光パネルで発電した電気を売電し、揚水機場の電力料金に充てることで、維持管理費の軽減を図っている」ことなどの説明を受けました。また、佐藤課長からは、「施設の建設にあたって、将来の維持管理や設備の更新に十分配慮したものとすることが重要である」と、実際に苦労した事例を含めて説明していただきました。学生たちは関心した様子で話に聞き入っていました。

 最後に本会で、水土里ネットいわての概要のほか、水土里情報システムの特徴として、農地情報の管理を行うほか、農業水利施設の管理も支援しているシステムであることなどを紹介しました。また、学生自らがパソコンやタブレットで水土里情報システムを実際に操作し、見学した農業水利施設の位置を確認したほか、水土里情報に備わる各種機能に興味を持ちながら、操作性の良さを体験したようでした。

 終わりに、今回、見学会に参加いただいた岩手大学の学生は、礼儀が正しく、興味深く見学しており、次代を担う技術者として期待できる人材であると感じました。この施設見学会は、岩手県農林水産部農村計画課と県南広域振興局農政部北上農村整備センター及び豊沢川土地改良区のご協力によって開催することができました。本会では、県内各団体における農業農村工学技術者の育成の取組みを、今後も継続して実施する予定としています。

 

〔豊沢ダムの説明をする照井主任技能員〕

〔監査廊内で揚圧力施設を見学する学生〕

〔宮野目揚水機場の説明を受ける学生〕

〔宮野目揚水機場の説明を受ける学生〕

 

 

 

 

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