本会では、6月22日、次代を担う若い世代に農業農村整備を理解していただくことを目的に、農業用施設の現地見学会を開催しました。岩手大学農学部飯田俊彰教授、濵上邦彦准教授、山本清仁准教授の引率のもと、同学部食料生産環境学科3年次生21名が、豊沢川地区の農業水利施設の役割等について研修を受けました。

 豊沢川土地改良区の水がめである豊沢ダムでは、岩手県県南広域振興局農政部北上農村整備センター豊沢ダム管理所の照井勇司技能員から、豊沢ダムは花巻市及び北上市にまたがる4,000haを超える水田地帯に農業用水を安定供給するための重要な水源施設であることや、監査廊の目的はダムの漏水や揚圧力の状況を確認するためであることなど、概要説明がありました。また、同管理所の菊池真臣技師に、ダムの施設について実際に見せてもらいながら用途の説明をしていただきました。

 豊沢ダムの監査廊に入る際には、参加者全員が急な階段に驚きつつ、ダム管理の苦労を身を持って感じているようでした。

 次の新田堰頭首工では、豊沢川土地改良区高橋憲幸業務課長から、「豊沢川の水をゲートの自動制御による管理で用水路に引き込み、農地にかんがいしている。また、平成15年度に、鋼製転倒ゲートからゴム堰に改修された」など説明をしていただき、バスの車中では、大幹線用水路の大分水工について説明していただきました。

 宮野目揚水機場では、口径600mm、最大取水量1.084㎥/sの両吸込渦巻ポンプを見学し、「豊沢ダムだけでは末端農地のかんがい用水が不足するため、その補水として北上川から直接揚水し供給している」ことや、「太陽光パネルで発電した電気の売電収入を揚水機場の電力料金に充てることで、維持管理費の軽減を図っている」ことなどの説明がありました。学生たちは、階下のポンプを覗き込みながら、揚水機場の重要な役割についての説明を、感心した様子で聞き入っていました。

 最後に本会において、本会の概要とともに、本会が管理運営する「水土里情報システム(GIS)」による農地情報の管理や、UAV(ドローン)での撮影データから作成した3Dモデルを基盤としたデジタルツインのモデル事例などを紹介しました。また、学生自らがパソコンやタブレットで水土里情報システムを実際に操作し、豊沢川地区管内の水利施設の情報を確認したほか、3Dモデルの操作を体感しました。

 終わりに、参加した岩手大学3年次生は、どの施設でも熱心に話を聞き、興味深く見学しており、技術者としての知識を磨く貴重な体験となったようです。次代を担う技術者として活躍されることを期待しております。なお、この見学会は、県南広域振興局農政部北上農村整備センター及び豊沢川土地改良区のご協力によって開催することができました。あらためて感謝申し上げます。本会では、農業農村工学技術者の育成に向けた取組を、今後も継続して実施していきます。

 

 

豊沢ダムの説明をする照井技能員

洪水吐施設の説明をする菊池技師

監査廊内で揚圧力施設を見学する学生

新田堰頭首工を見学する学生

宮野目揚水機場にて説明をする高橋業務課長

本会で水土里情報システムの説明を受ける学生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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