土地連からのお知らせ　No.1152（次代を担う農業農村工学技術者の育成‐岩手大学の学生が豊沢川地区の農業水利施設の役割を研修‐） |

　本会では、６月13日、次代を担う若い世代が農業農村整備をより一層理解することを目的に、農業用施設の現地見学会を開催しました。

　見学会には、岩手大学農学部濵上邦彦准教授、山本清仁准教授、岩手大学工学部杉田早苗准教授の引率のもと、農学部食料生産環境学科３年生22名が参加しました。

　初めに、豊沢川土地改良区の水がめである豊沢ダムで、岩手県県南広域振興局農政部北上農村整備センター豊沢ダム管理所の照井勇司技能員から、豊沢ダムは花巻市及び北上市にまたがる4,000haを超える水田地帯に農業用水を安定供給するための重要な水源施設であることや、監査廊の目的はダムの漏水や揚圧力の状況を確認するためであるなど、概要説明がありました。

　また今年度は記録的な渇水状態にあることから、学生から「渇水対策は何をするのか。」「どのような状態になったら渇水とみなされるのか。」などの質問も出るなど、ダムの渇水対策にとても興味をもっていました。

　監査廊では同管理所の八重樫一也主任が、ダム施設の用途について説明をしました。

　監査廊に入る際には、参加者全員が急な階段に驚きつつ、ダム管理の苦労の一端を身を持って感じていました。

　新田堰頭首工では、豊沢川土地改良区高橋憲幸業務課長から、豊沢川から自動制御によるゲート管理で用水路に水を引き込み、農地にかんがいしていることなどの説明があり、その後操作室、取水設備を見学しました。

　次の施設に向かうバスの車中では、大幹線用水路の大分水工や番水の取組みについて説明を受けました。

　最後に、宮野目揚水機場では口径600mm、最大取水量1.084㎥/sの両吸込渦巻ポンプと北上川から取水するための水門を見学し、豊沢ダムだけでは末端農地のかんがい用水が不足するため、その補水として北上川から直接揚水し供給していることについて説明がありました。学生たちは、階下のポンプを覗き込みながら、揚水機場の重要な役割についての説明を、感心した様子で聞き入っていました。

　参加した学生は、どの施設でも熱心に話を聞き、興味深く研修しており、技術者としての知識を磨く貴重な体験となったようです。次代を担う技術者として活躍することを期待します。

　なお、この見学会の開催にあたっては、北上農村整備センター及び豊沢川土地改良区のご協力にあらためて感謝申し上げます。

　本会では、農業農村整備の技術者育成に向けた取組を、今後も継続して実施していきます。