公益社団法人農業農村工学会は、平成29年8月29日(火)、農業農村工学会大会において、胆沢平野土地改良区(及川正和 理事長)に平成29年度農業農村工学会賞「優秀報文賞」を授与しました。

 農業農村工学会優秀報文賞は、農業農村工学に関する学術または技術に関する優秀な業績に授与するもので、胆沢平野土地改良区は、岩手大学農学部木下幸雄准教授との共同研究により「水田農業経営の現状と土地改良区を巡る新たな論点」と題した論文を発表し、受賞しました。

 学会賞受賞の感想が学会詩「水土の知」11月号に掲載されます。以下、掲載内容全文です。

 

 本報文に対しまして優秀報文賞を賜り、大変光栄なことと存じます。また、ご推薦とご審査をいただきました皆様には、厚く御礼申し上げます。

 本報文は、2014年~15年に岩手大学と胆沢平野土地改良区とが共同研究として取り組んだ「胆沢平野の農業経営力」の成果です。この共同研究の背景は、折しも環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大詰めを迎え、農地中間管理機構の創設や日本型直接支払制度など一層の農政改革と営農基盤条件の整備が進められる中、地域農業の成長の次なる課題としては、国際競争と次世代社会に対応できる経営力を備えた農業が展開することと考え、そのための農業経営改革をいかに実践するかを検討するべき時が来たのではないかとの思いに至ったことでした。

 経営環境の大きな変化に直面する地元の水田農業の経営力の現状を把握するため、管内組合員のうち120経営体を対象に聞き取り調査を行いました。これには胆沢平野土地改良区の正規職員全員が調査員として参画し、職員のファシリティ・マネジメント能力(管理力・実践力・責任力・専門力)を磨くことが目指されました。こうしたユニークな職員研修を通して、農業経営に対する支援能力を養いつつ、土地改良区の役割の中で、新しい価値をどのように創造できるかについて考えてもらうきっかけにもなりました。その結果、胆沢平野土地改良区では管内の農業担い手を対象に独自の経営支援サービス「胆沢平野版農業クラウドシステム」を開発・運用し、アイデアを具現化いたしました。

 今回の岩手大学と胆沢平野土地改良区との共同研究は、土地改良事業の経営的評価、職員能力の向上、農業経営改革の実践的支援など、広範な意義を有しています。この栄誉ある受賞を励みに、時代を先取りする土地改良区を目指し一層尽力していく所存です。改めて、調査にご協力頂いた組合員の皆様、そして岩手大学木下幸雄准教授のご指導に対しまして、感謝申し上げます。

  (胆沢平野土地改良区作成)

 

授与式での及川理事長

優秀報文賞の賞状

 

 

 

 

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