1月23日から24日にかけ、県内土地改良区役職員等約240名の出席のもと、盛岡つなぎ温泉ホテル紫苑において『令和5年度水土里ネット役員研修会』を開催しました。

 開会にあたり、主催者を代表して本会髙橋隆会長が、冒頭に能登半島地震の犠牲者への哀悼と復旧・復興支援の意を表したうえで、「県内の土地改良区役員が一堂に会するこの研修会は、4年ぶりにコロナ禍以前の規模での開催となった。研修会で研鑽を積み、交流会で親睦を深め、地元に帰って組合員のために土地改良事業の推進に励んでいただきたい。本会としても、本県の農業生産基盤整備に必要な予算について、土地改良区及び地域の現状を訴えながら、引き続きその確保に努めていく。」と挨拶しました。

 次に、来賓挨拶として、岩手県農林水産部の今泉元伸 農村整備担当技監心得が、「はじめに令和6年能登半島地震で犠牲になられた方々に心からお悔やみ申し上げるとともに被害にあわれた皆様にお祈り申し上げる。県では全国知事会と連携しながら被災県を支援していく。また、本県の農業・農村について、本年度始動のいわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランに基づき、土地改良区の運営基盤強化への支援等を進めていく。また、革新的な技術の開発や導入等による収益力の高い食料供給基地づくりとそれを支える生産基盤の着実な整備を進めていく。」と農林水産部長挨拶を代読しました。

 また、都道府県水土里ネット会長会議顧問の進藤金日子 参議院議員と宮崎雅夫 参議院議員からは、役員研修会開催へのお祝いの言葉と最近の農業農村を巡る情勢を報告するビデオメッセージが寄せられました。

 初日の研修では、今泉農村整備担当技監心得が『いわて農業農村整備の展開方向について』と題して、本県の土地改良事業などが目指す将来像やそれを実現する重点施策等について講演しました。

 続いて、岩手県農林水産部の黒田裕一 農村計画課企画調査課長が『ほ場整備を契機とした地域の営農ビジョン策定の推進について』と題して、農業者が話し合いを通じて明確にした将来の“営農ビジョン”の重要性を説明するとともに、ほ場整備事業の導入地区における営農ビジョンの優良事例を紹介しました。

 次に、本会の菅野章 参与兼換地部長が、『法定化された地域計画策定への参画について』と題して、農業経営基盤強化促進法の改正により法定化された地域計画の概要や、その策定における土地改良区の役割等について説明したほか、土地改良区体制強化事業の受益農地管理強化対策である「所有者不明農地等の解消に向けた取組」について説明しました。

 次に、防災システム研究所の山村武彦 所長が『これからの防災・危機管理~個人の備えと組織の対応~』と題して、能登半島地震の被災の特徴について説明するとともに、防災や危機管理に取り組むうえでの心構えや重要なキーポイントについて講演しました。

 次に、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘 教授が『食をめぐる安全保障の危機と打開の処方箋~日本農業の現状と課題~』と題し、日本の食料自給率の低下など農業政策の課題や、これからの日本農業の目指すべき将来像等について講演しました。

 翌日の研修では、長岡技術科学大学大学院の斎藤秀俊 教授が『水難事故の現状とそれを防止するための安全対策』と題して、最近の水難事故発生数や事故事例、事故原因等を説明するとともに、ハードとソフト両面からの事故防止対策を講演しました。

 次に、農林水産省経営局 就農・女性課女性活躍推進室の伊藤里香子 室長が『農業分野における男女共同参画について』と題して、女性農業者の状況や重要性とともに、その活躍推進に向けた施策展開について講演しました。

 次に、群馬県 天狗岩堰土地改良区の磯田靖 事務局長が『都市化が進む地域における農業用水の維持管理について』と題して、天狗岩用水の現状紹介と、都市化が進む中で派生する問題や用水を適切に維持管理するための取り組み内容について講演しました。

 最後に本会農村振興部農村整備第一課の藤井純 課長が、『ドローンの活用と水土里情報システムとの連携』と題して、ドローンを活用した水利施設の管理等に関する調査内容を紹介するとともに、ドローンと水土里情報システムによる法面の草刈り面積の算出など施設管理の省力化に向けた活用事例について説明しました。

 出席者からは、「これからの防災・危機管理の講演において、事前の備えや発災時、発災後の対応など全てが大変参考になった。」「水難事故の現状の講演において、ため池や水路がこんなに危ないと思っていなかった。周辺で作業する際には十分注意しなければと改めて思った。」「農業分野における男女共同参画についての講演において、“組織における多様性確保”が女性参画が必要な理由であると理解できた。」などたくさんの感想が寄せられました。

 初日は、東北新幹線の架線事故により鈴木及び山村講師の講演が急遽オンラインになるなどハプニングがありましたが、参加者の皆様の御協力により予定を終えることができたことに感謝申し上げます。

 本研修会により、国及び県が推進するこれからの農業政策や男女共同参画への理解が深まるとともに、災害や水難事故への備えに対する意識が高まり、今後の土地改良区の運営の一助になることを期待します。

 本会では、土地改良区の組織運営の改善及び適正な財政計画の樹立等、土地改良区の管理運営基盤の強化に向けて今後も引き続き研修会を開催してまいります。

 

【主催者挨拶をする髙橋隆会長】

【来賓挨拶をする今泉元伸農村整備担当技監心得】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【進藤顧問(左)、宮崎顧問(右)によるビデオメッセージ】

 

【講演する黒田課長】

【講演する菅野参与兼換地部長】

【リモートで講演する山村所長】

【講演する鈴木教授】

【講演する斎藤教授】

【講演する伊藤室長】

【講演する磯田事務局長】

【講演する藤井課長】

【研修会場の様子】

 

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