本会では、6月1日、次代を担う若い世代に農業農村整備を理解していただくことを目的に、農業用施設の現地見学会を開催し、岩手大学農学部山本准教授、濵上准教授の引率のもと、同学部共生環境課程3年次18名が豊沢川地区の農業水利施設の役割等について研修しました。

 豊沢川土地改良区の水がめである豊沢ダムでは、岩手県北上農村整備センター豊沢ダム管理所の照井勇司主任技能員から、『豊沢ダムは、花巻市及び北上市にまたがる4,000haの水田地帯に農業用水を安定供給するための重要な水源施設である。ダム建設後53年余りが経過し、老朽化のため、今後、国営事業で事業費67億円をかけて改修する計画である。また、目玉として、有効落差を利用した小水力発電施設を新設し、維持管理費の軽減を図ることとしている』と説明を受けました。

 また、学生からの「苦労することは?」との質問に対し、「豪雨、地震時には泊まり込みで監視にあたること」などについて話をしていただきました。その後、参加者全員が豊沢ダムの監査廊に入り、423段の階段を昇降することで、ダムを造った先人たちの苦労を身を持って感じているようでした。

 次の新田堰頭首工では、豊沢川土地改良区佐藤光広業務課長から、「豊沢川の水を用水路に引き込み、農地にかんがいするほか、一部花巻市の上水道に利用されている」ことや、平成15年度に、鋼製転倒ゲートからゴム堰に改修されたことなどについての説明を受けました。

 その後、宮野目揚水機場で、「豊沢川用水だけでは末端農地のかんがい用水が不足するため、その補水として北上川から直接取水し供給している」ことや、「太陽光パネルで発電した電気を売電し、揚水機場の電力料金に充てることで、維持管理費の軽減を図っている」ことなどの説明を受けました。また、佐藤課長からは、「施設の建設にあたって、将来の維持管理や設備の更新に十分配慮したものとすることが重要である」と、実際に苦労した事例を含めて説明していただきました。学生たちは納得した表情で話に聞き入っていました。

 最後に本会で、水土里ネットいわての概要のほか、水土里情報システムの特徴として、農業水利施設の管理も支援しているシステムであることなどを紹介しました。また、学生自らが水土里情報システムを使い見学した農業水利施設の場所を確認したほか、水土里情報に備わる各種機能に興味を持ちながら、操作性の良さを体験しました。

 おわりに、今回、見学会に参加いただいた岩手大学の学生さんは、みな礼儀が正しく、積極的であり、次代を託すに余りある人材であると感じました。この施設見学会は、岩手県農林水産部農村計画課と豊沢川土地改良区のご協力によって開催することができました。本会では、県内各団体における農業土木技術者の確保や育成の取組みを、今後も継続して実施する予定としています。

〔豊沢ダムの説明をする照井主任技能員〕

〔監査廊をのぼる学生たち〕

〔宮野目揚水機場の説明を受ける学生〕

〔新田堰頭首工管理室にて説明をする佐藤業務課長〕

〔水土里情報システムの説明を受ける学生〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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